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あっちのブログ

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【まとめ】アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 〜その4 その他の不適応〜

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前回の続きです。

米田衆介著のアスペルガーの人はなぜ生きづらいのか?のまとめというか書評というか散らかったものです。

おさらいしますと、この本では「社会にマッチしないこと」という意味である「不適応」は、5つの不適応タイプでした。

  • 社会的能力に関係した不適応
  • 作業能力に関係した不適応
  • 自己統制に関係した不適応
  • 過敏性と易疲労性の不適応
  • 能力障害以外の不適応

前回で、2番目の「作業能力に関係した不適応」までまとめました。 今回は、一気に残り3つの不適応についてのまとめです。

目次

自己統制に関係した不適応

自己統制に関係した不適応は、自分をうまくコントロールしてものごとを成す、ということことができない問題です。

自分をコントロールするという自己統制は、広い概念なので3つの問題に分けて考えます。

  • 自己モニターの問題
  • 制御目標となる課題設定の問題
  • 制御を実行するため問題

自己モニターの問題

自己モニターの障害は、アスペルガーの特性の一つです。
例えば、「今は『少し』疲れている」の『少し』などの時に把握することができず、動けない直前で気づくようなことがあります。
この特性の詳しくはまとめその1で説明しています。

状態だけでなく、実行するのに必要な能力を自分が持っているかどうか判断することも自己モニターに含まれます。

具体的には、課題を渡される時に、能力的に可能か不可能かがわからないで引き受けてしまった、めちゃくちゃ簡単なのに自分にはできないと圧倒される、などです。

自分の中では、これはかなりの「あるある」感です。

制御目標となる課題設定の問題

制御目標となる課題設定の問題とは、全体像をみて目標を分割して設定するとか、途中で不可能と把握したら妥当な目標に変化させる、などがアスペルガーの人はできないということです。

ふつうの人は他の人をモデルとして「ふつうはこうする」と予測するそうなのですが、それができないということです。

ふつうに人がしそうな行動を選択すればいいだけのことですが、
それは無理というものなのです。
もしも嘘でもいいから、
「ふつうはこうする」ということの演技ができるようならば、
アスペルガー者として到達できる最も高度な社会性の水準に
達しているとさえ言えるでしょう。

うーん、せめて高度なアスペルガーになりたいところですね。

制御を実行するため問題

制御を実行するための問題は、「行動そのものの制御の側面」と「感情制御の側面」の2つの捉え方があります。

「行動そのものの制御」は、モチベーションの話です。アスペルガーの人には、原始的ではありますが「報酬」いわゆる「行動に対するご褒美」により行動を維持できるようになります。逆に言えばこう言った制御が、かなりの割合の人にとって必要になると思われます。

「感情の制御」については、外部の刺激に敏感すぎたり、感情のモニタリングができない特性からネガティブな気持ちが払拭できなかったり、それらが原因になり行動できない、ということです。

もし、自己モニターができる、課題設定ができる、となっても実行できなければ何の意味もありません。

アスペルガーのものにとって自己統制は、綱渡りの連続みたいなものすごい集中が必要な感じの困難なことなのですね。
ま、注意欠陥の特性があると集中力もないので詰みますがね…。

対策

対策ですが、制御の学習です。制御を学習しなければ状況は改善しません。

自己統制の学習で最も重要なのは、課題設定においてハードルを下げることです。0と1で考えてしまうので、自分の能力わきまえずハイレベルな理想の目標を描きがちです。

どれだけ目標を下げるかにあると言っても良いと考えます。

もー、「現状維持」くらいの目標に下げまくるのが良さそうですね。

本書の特徴である絶望できるポイントとしては、

対人場面での適切な振る舞い方を学習する事と、
被害的な感情から離れる能力を獲得する事が必要です。
(中略)
通常ある程度の成果を得るまでに数年を必要とすると考えられます。

ですね。数年って…。

アスペルガーの人では課題設定が不可能な年月ですね…。他の人の力を頼りましょう。

過敏性と易疲労性の不適応

過敏性と易疲労性の不適応は、そのまま「感覚が敏感すぎる」と「疲れやすい」という問題です。

感覚過敏はまとめその1で説明したアスペルガーの人がもつ「ハイコントラスト知覚特性」があります。

聴覚で言ったら、

ふつうの人:うるさくない→すこしうるさい→ややうるさい→うるさい→耐えられないくらいうるさい
アスペの人:うるさくない→うるさくない→耐えられないくらいうるさい→耐えられないくらいうるさい

ということです。

こういった敏感性や、自己モニターが壊れていることによって適切な休息がとれない、ということにより「疲れやすい」ということになります。

対策

対策ですが、リズムを保つことです。

どんくらい疲れているかわからないので、自発的には休息がとれません。1時間に5分休むなど定期的な休憩をとる、規則的な生活リズムを維持する、などが必要になります。

また、不器用なのでデスクワークなどでもむだな力を使っていることも疲労の原因になります。肩こり、首の痛みなどです。さらに感覚過敏によって耐えられないように感じて仕事に支障がでる、ということにつながります。

定期的な休息のほか、太極拳やヨガのような意識して身体をゆっくり正確にコントロールするタイプの運動、ランニング・水泳などの全身の循環を改善する運動なども効果的だそうです。

能力障害以外の不適応

能力障害以外の不適応は、その他の困った事です。

具体的には以下の2つです。

  • 「感情」が世間と異なっている
  • 「想像力」が世間と異なっている

アスペルガーの人は「感情が欠如している」「想像力が欠如している」と言われます。
もちろんそういう一面はあります。そうではなく、もやもやと「漠然と違っている」のです。それについてこの本は丁寧に説明しています。

「感情」が世間と異なっている

まず「感情が世間と異なっている」について。感情の欠如といっても感情のないわけではありません。むしろ感情的になりやすいが、社会とは共有しがたい、というイメージです。

ではその共有できないというのは、どういった感じか?
この本では、当事者の話を引用して見事に言い放っています。

他の(発達障害ではない)人たちは、共感という一つの大きな魔法にかかっていて、
自分だけが魔法の影響を受けなくなる呪いをかけられているみたいです。
そのためにみんなからのけ者にされているような感じがします。
みんなは、ありもしない魔法のお城で楽しそうに暮らしているのに、
自分にはみんなが幻覚を見ていて、自分だけが正気でいるようにしか思えない。
でも、そう思うのは自分だけだとすると、論理的に考えて、私の方が狂っているはずだ
ということは自覚しています。

私は、この文章を読んだ時に心底震えました。
子供の頃、友達みんなと遊んでいて、みんな楽しそうなんだけど自分は楽しくない、一緒にいるのにひとりぼっちな感じがしていました。それで、「あー、自分は人となんか違うんだ。なんなんだこれ…。」と思っていたのですが、それは上の引用そのものだったからです。20年以上の年月をあけて、感情の違和感というトリックの伏線を回収したような。

「想像力」が世間と異なっている

次に「想像力が世間と異なっている」について。
感情同様にアスペルガーの人は「想像力が欠如している」と言われますが、頭の中に描かれるイメージを見る「空想」をすることはできる人、小説など物語を楽しめる人、社会的な場面んで相手の反応を予測できる人、もいます。

アスペルガー疑義の私自身、想像力がある方だと思っていましたので、欠如と言われるとものすごく腹が立ちます。

想像力の定義を、本では以下のようにしています。

本当の意味での想像力とは、たんにイメージする事の他に、
与えられたイメージを能動的に作り変える事を含んでいるのです。
そしてさらには、作り替えられたオリジナルのイメージを用いて現実を批評し、
イメージと現実をともに変化させる事も含んでいるのです。

イメージをぐにゃりと作り変えて現実の問題という鍵穴にマッチさせる、という想像力が欠如している、ということです。

確かに自分でも、常識のスイッチをオフにした空想力は得意な方だと感じていましたが、現実に合わせ込むことができず独善的なものばかりであったように思えてきました…。

希望ポイントとしては、

アスペルガー者の場合でも、表現者としての自己訓練によって、
逆に平均的な人々よりも大きなイメージの広がりや飛躍を
作り出せるようになる可能性があります。

ですね。

絶望ポイントとしては、自己訓練する際の障害がある、つまりは前の章「自己統制に関係した不適応」で説明した通り目標設定とその実行の障害がある、ということですね…。

まとめ

「自己統制に関係した不適応」「過敏性と易疲労性の不適応」「能力障害以外の不適応」についてまとめました。

特に、自己統制の障害は「目標の設定と実行ができない」ということであり、何を改善するにしても大きな壁になります。

つまり、アスペルガーの人は不適応から抜け出せない蟻地獄に中におり「人生、ベリーハードモード」なのです!

今回までで、本のタイトルの通り「アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか?」についてその原因を羅列しました。

まとめられた絶望的な原因たちを踏まえ、次回最終回で「アスペルガーとしてどう生き残るか?」について、本の中の対策をまとめつつ、自分なりの作戦を練りたいと思います。

つづく。

アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える (こころライブラリー)

アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える (こころライブラリー)