前回の続きです。
岸見先生著のアドラー心理学本「幸せになる勇気」のまとめというか散らかした文章の第4回になります。
第4部 与えよ、さらば与えられん
第4部目次
- すべての喜びもまた、対人関係の喜びである
- 「信用」するか? 「信頼」するか?
- なぜ「仕事」が、人生のタスクになるのか
- いかなる職業にも貴賤(きせん)はない
- 大切なのは「与えられたものをどう使うか」
- あなたに親友は何人いるか
- 先に「信じる」こと
- 人と人とは、永遠に分かり合えない
- 人生は「なんでもない日々」が試練となる
- 与えよ、さらば与えられん
第4部は、3つの人生のタスクの内、「仕事のタスク」「交友のタスク」について書かれています。
幸せには、人生のタスクをこなしていく必要がある、というアドラー心理学の概念では、人生のタスクを分解してこなしていくのは有用ですね。
この部からラストに向けてジェットコースターが始まります。一直線な説明ではなく、「信用」「信頼」の話など左右に揺さぶられながら。
これまでの部は、これ以降で人生のタスクを説明するための助走、ジェットコースターでいう最初にカタカタとゆっくり上がっていくところだったと言えるでしょう。
仕事のタスク
人生の悩みも幸せも全て対人関係にある、というアドラーの考えでは、「仕事のタスク」を「仕事の関係」と言い換えることができます。これは他のタスクも同様に、「交友の関係」、「愛の関係」と言えます。
じゃあ、それぞれどういう関係なのか?
仕事とは?
まずは仕事の定義。定義、定義、定義。それが哲学。
仕事とは、地球という厳しい自然環境を生き抜いていくための生産手段である。
つまり仕事をかなり「生存」に直結した課題としてアドラーは考えていたことになります。
では、仕事を成立させている対人関係は何か? アドラーの最終結論は、
分業
と見事に言い切っています。
分業とは、人間がその身体的劣等生を補償するために獲得した、類い稀なる生存戦略
つまり、
人間はなぜ働くのか? 生存するためである。この厳しい自然を生き抜くためである。
人間はなぜ社会を形成するのか? 働くためである。分業するためである。 生きること、働くこと、社会を築くことは不可分なのです。
では、分業するうえで、どう人と接すればよいか?
他者と「分業」するためには、その人を信じなければならない。
と言っています。つまり仕事の関係は「信用」の関係であると。 一方で、交友の関係は「信頼」の関係であると。
ここで「信用」と「信頼」の定義を引っ張っておきます。
「信用」とは、相手のことを条件付きで信じること
「信頼」とは、他者を信じるにあたって、いっさいの条件をつけないこと
信用の関係についてこうも言ってます。
その人が好きだから協力するのではなく、否が応でも協力せざるををえない関係
生きるためには、分業する必要があり、分業するためには、相互の信用が必要である。
好き嫌いでつきあうのではなく、友人でもなく、「機能」の一つとして信用する関係です。んー、ビジネス。
利己心の肯定
分業についてさらに深堀します。
本では、ここで経済学者のアダム・スミスの言葉を引いています。
分業の根元には人間の「利己心」
どういうことかというと、本では集団での狩りの例をもちいて説明しています。
弓矢を作る名人が狩りが下手。
「弓矢作りに専念しよう」
その殺傷能力の高い矢を借り仲間に与える。
トータルで収穫量が増え、利益の最大化になる。
このような利己の追求が「群れで狩りをする」より合理的な分業システムとなるわけです。
これぞWin-Winの関係です。
昨今の「好きなことを仕事にする」という風潮をエゴ的に感じていましたが、それが私が社会に飼い慣らされているがゆえの誤りだと気付きました。
利己心を追求した先に、「他者貢献」がある
ということです。
なんて素敵な概念なんでしょう、分業。
好きなことの追求が、社会への貢献につながる。
確かにこの考えならば、自分の好きなことを信じてみる勇気がわきます。
承認欲求からの脱却、すなわち嫌われる勇気が。
交友のタスク
仕事の人間関係は、信用の関係でした。 そしてこの記事の冒頭で、交友のタスク、すなわち交友の人間関係は、信頼の関係だと。
ここで第3部の前フリが効いてきます。こういったものです。
教育とは「自立に向けた援助」である。
そして、
教育の入り口は尊敬である
さらに、
尊敬と信頼は、同義
なんと、交友コンボが炸裂しました。
つまりは、
交友の関係=信頼の関係=尊敬の関係=教育の関係
だと。
「交友の関係は、信頼の関係」はなぜか?を改めて。
交友の関係は、相手をありのままに受けいれる、すなわち尊敬をすることです。 交友のタスクが、信頼の関係なのは、尊敬の関係ということになります。
第一部にあったように、尊敬の入り口は、
尊敬の入り口は、他者の関心ごとに関心を寄せることです。
です。
交友の入り口は、関心ごとに関心を寄せることです。
ちなみに私の関心は、「アドラー心理学を体現してみる」です。これに関心を寄せて友達へのステップを踏んでみませんか?(嫌われる勇気)
交友への助言
信頼は難しいです。信じるという勇気が必要です。
なぜならば、
我々は自分のことを信じてくれる人の言葉しか信じようとしません
だからです。そして、
自分を信じることができなければ、他者を信じることができない
自分を信じると。これはどういうことか?
自己中心的な人は、自分のことが好きだから自分ばかり見ているのではありません。実相はまったくの逆で、ありのままの自分を受け入れることができず、絶え間なき不安にされているからこそ、自分にしか関心が向かないのです。
信頼の第一歩は、ありのままの自分を受け入れる勇気です。
信頼は無条件に相手を信じることです。他人が嘘をつこうが、嘘をつくその人そのままを信じる、受け入れる。 これと同様に、自分がどんなことをしようと、どんなことを考えようと、自分をそのまま信じる、受け入れる。
- 3日以上努力が続かない
- 自意識過剰で人の目ばかり気にする
- すれちがいの女性に卑猥な感情を抱く
なんてことしても、ダメなやつなんていう判断をくださず、シンプルに受け入れる。
- 「私は3日以上努力が続かないな」
- 「私は自意識過剰で人の目ばかり気にするな」
- 「私はすれちがいの女性に卑猥な感情を抱くな」
ノージャッジ。ありのままを受け入れる。これが自分のことを好きになる第一歩、信頼の第一歩です。
自分の嫌いなところ、こういう風が理想、というのを思いつけるだけ書き出し、それを存分に受け入れてみる。 そんなトレーニングをすると自分を好きになる、と言われているのも納得がいきました。
「幸せになる勇気」には、そのタイトル通り、いろいろな勇気の話が出てきます。
それら勇気を出すには、自分を尊敬することが土台だそうな。尊敬はありのままを尊重すること。
もし勇気が出ないなら、自分のいろいろな面を少しずつでも受け入れることをすることが必要なんですね。
私は自分を受け入れる勇気がない
私は自分を受け入れる勇気がない
私は自分を受け入れる勇気がない
私は自分を受け入れる勇気がない
私は自分を受け入れる勇気がない
…
そんな感じで私は「勇気がないことをありのまま受け入れる勇気」から始めてみます。
Give & Give
「いやいやいや、信じられなければ信じないよ」
なんてご意見も出るでしょう。正論です、間違いないです。 あなた以外も、みんなそうなのです。
しかしこれは、
「与えてもらうこと」ばかり求める物乞い行為です。
とあります。
金銭面が豊かならば、余裕で「与える」ことができると思います。
同様に、心が豊かならば、「与える」ことができるのです。
これを本では、聖書の一節のパロディでこう言ってます。
与えよ、さらば与えられん
人はその人の決断のみで、自分を受け入れ、心を豊かにすることができます。
まず、与える。決断の勇気の問題なのです。
全体の一部である自分が、最初の第一歩を踏み出す
のです。これにより、
なんでもない日々が試練であり、「いま、ここ」の日常に、大きな決断を求められているのです
となります。刹那、刹那で勇気の決断が必要な試練となります。それでも進む勇気を。
第4部 まとめ
幸せのための「人生のタスク」のうち「仕事のタスク」「交友のタスク」の話でした。
まとめると、こんな流れになります
幸せになることを決断する
↓
自分を受け入れる
↓
自分を尊敬する
↓
自分を信じられる
↓
人を尊敬する
↓
人を信じられる
↓
仕事のタスク、交友のタスクをこなす
↓
なんだかんだあって
↓
人生のタスクをこなす
↓
幸せになる
なんだかんだは、人生のタスクの一つ「愛のタスク」です。
第4部はこれまでの知識の総力戦であるラストダンジョンみないなものでした。
第5部は「愛のタスク」の話、最終の難関、ラスボス戦になります。これまでの伏線が全て回収されるドラマティックな展開です。
フィナーレ、第5部につづくっ!!

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