前回まで、「幸せになる勇気」に関してまとめてきました。
しかし、その用語が同じ単語でも、一般常識の解釈と異なるため混乱して飲み込めなかったりします。
「えっと、結局『幸せ』は愛する事だけど『愛』ってなんだっけ?」みたいな
そのため、より深い解釈ができるよう「嫌われる勇気」と「幸せになる勇気」の一覧にして用語をまとめました。
リスト
課題の分離
課題の分離とは、アドラー心理学の根底の考えのひとつ。
人生のあらゆる物事について「これは誰の課題なのか?」という観点から、「自分の課題」と「他者の課題」を切り分ける
ということ。
誰の課題かを見分ける方法は簡単である。
その選択によってもたらされる結末を、最終的に引き受けるのは誰なのか?
これを考えればよい。
水辺まで連れて行くことはできても、水を飲ませることはできません。
信用・信頼
信用・信頼は、それぞれ「信じること」。それぞれの違いを明確にしておく必要がある。
信用
信用は、何かしらの条件があって信じること。
英語で言うクレジット。お金を借りる場合は、信用として何かしらを担保にする。
信頼
信頼は、一切の条件をつけず他者を信じること。
他者貢献
他者貢献とは、共同体の仲間である他者に対して、なんらかの働きかけをして貢献しようとすること。
他者貢献とは、「わたし」を捨てて誰かに尽くすことではなく、むしろ「わたし」の価値を実感するためになされるもの
つまり、他者貢献は、自己犠牲ではない。
行為ではなく、存在しているだけで、共同体においてすでに何かしらの他者貢献している。
他者貢献は、「共同体感覚」を得るための方法の一つ。
他者信頼
他者信頼とは、他者を信頼すること。
無条件の信頼とは、対人関係をよくするため、横の関係を築いていくのため手段。
他者信頼は、「共同体感覚」を得るための方法の一つ。
自己受容
自分のことをそのまま受け入れること。
できないのであれば、できない自分をありのままに受け入れ、前に進んでいくこと。
自己受容は、「共同体感覚」を得るための方法の一つ。
自己受容は、自己肯定とは異なる。
自己肯定
自分に対してポジティブに嘘をつくこと。
できもしないのに「わたしはできる」「わたしは強い」と自らに暗示をかけること。
仕事
仕事とは、地球という厳しい自然環境を生き抜いていくための生産手段である。
仕事は「生存」に直結した課題である。
仕事を成立させている対人関係は、分業である。
分業の根元は人間の「利己心」の追求であり、利己心を追求した先に「他者貢献」がある。
共感
共感とは他者に寄り添うときの技術であり態度
他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じること。
Facebookの「いいね!」は、「わたしも同じ気持ちです」と同意することは単なる「同調」であって、「共感」ではない。
「共感」のスタートは、「他者の関心事に関心」を寄せること。
これは、全ての対人関係のスタートは尊敬であるので、尊敬のスタートは共感であり、共感のスタートは「他者への関心」である。
あらゆる対人関係は、「他者への関心」に関心を寄せることからスタートすることが推奨される。
尊敬
尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力
尊敬とは、その人がその人らしく成長発展していけるよう気遣うことである
尊敬とは、「勇気づけ」の原点
尊敬は、自分もうそうありたいと請うような憧れにも似た感情ではない。
それは恐怖であり、従属であり、信仰である。
自己受容は自分を尊敬することである。
また、尊敬のスタートは、「共感」である。
教育
教育とは「自立に向けた援助」である。
教育のゴールは、対象の自立。
あらゆる対人関係のスタートが尊敬である。教育のスタートも尊敬である。
自立
自立とは、「わたし」=「自己中心性」からの脱却である。
自己中心性とは、承認を求める、他者を信頼できない、自分が嫌い、など自分の事しか考えてない状態。
自立は、経済的に独立していること、誰の援助もなく生活を継続できること、ではない。
自立は、ほめられること・しかられることよって依存・支配が生まれ妨げられる。
また、自立は教育のゴールです。
目標
アドラー心理学における目標は、人生のタスクをこなし共同体感覚を得るための行動面と心理面の目指す方向である。
- 行動面の目標
- 自立すること
- 社会と調和して暮らせること
- 心理面の目標
- 私には能力がある、という意識
- 人々はわたしの仲間である、という意識
過去
過去とは、物語。今の正当性を保つためのフィクションである。
トラウマの否定
トラウマは過去である。
原因論など、トラウマなど過去を持ち出し現在の行動が妨げられている、と考えることをアドラーは否定している。
歴史
歴史とは時代の権力者によって改善され続ける巨大な物語
劣等感
劣等感とは、自らを劣っていると価値判断する主観的解釈である。
人は誰しも、「優越性の追求」をもつため、理想と比較して劣っているかのような感覚を抱く。
優越性の追求
優越性の追求とは、理想の状態を追求すること。
劣等コンプレックス
劣等コンプレックスとは、自らの劣等感をある種の言い訳に使い始めた状態のこと
「AであるからBできない」という論理をとること。
例:私は学歴が低い。だから出世できない、成功できない。
貢献感
貢献感とは、「誰かの役に立てている」という、主観的に感じること。誰かは、共同体の構成員である。
貢献感は、他者からの承認から得るものではなく、自分で能動的に感じるものである。
勇気
勇気とは、自分を変えることへ対する恐れに打ち勝つこと。
変化することは、「死そのもの」
勇気は、その死を恐れないことである。
人は、自分には価値があると思えたときにだけ、勇気を持てる
すなわち、貢献感があれば勇気がもてる。
勇気の例
嫌われる勇気
- 自由であること。
- 嫌うことは他者の課題として変えられないとして課題を分離し、嫌われることを恐れず人生のタスクをやり抜くこころざし。
神よ、願わくばわたしに、変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと、変えることのできるものごとを変える勇気と、その違いを常に見分ける知恵をさずけたまえ
* 「ミーバーの祈り」の一節。
- 課題の分離を行い、他者の課題へ踏み込まないことと、自分を受け入れ変えていく勇気を持つこと。
普通であることの勇気
- 共同体の特別な存在であることを目指すことを降りる勇気。
愛する勇気
- 自立する勇気である
- すなわち、幸せになる勇気である。
- 人は無意識に愛することを恐れている。何の保証もなく行動を起こすことであり、こちらが愛せば相手に届くだろうという希望に自分を札寝ることに勇気がいる。
幸せになる勇気
- 自由を選ぶことである
- 愛する勇気である
- すなわち、人生のタスクに立ち向かう勇気である
自由
自由とは、他者から嫌われることである。
人生の嘘
さまざまな口実を設けて、人生のタスク、つまり対人関係を回避しようとする態度。
具体的には「〇〇」だから「△△」できない、という発言や思考などである。
人生の最大の嘘は、今ここを生きないこと。
人生のタスク
人生のタスクは、幸福な人生を送るための対人関係の課題。
人生のタスクは、3つのタスクに分けられる。
「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」の3つ
仕事のタスク
仕事のタスクとは、利己的な「わたしの幸せ」を突き詰めた分業の関係。
仕事とは、地球という厳しい自然環境を生き抜いていくための生産手段である。
また、仕事は、分業として利己心を追求した先に「他者貢献」がなされます。
交友のタスク
交友のタスクとは、ひたすら信じ、ひたすら与える利他的な態度。すなわち、信頼し「あなたの幸せ」で貢献感を得る関係。
愛のタスク
愛のタスクとは、二人で幸せを築き上げる関係。すなわち、不可分なる「わたしたちの幸せ」を築き上げる関係。
「わたし」から脱却、つまり自立し、「わたしたち」を主格として幸せを成し遂げる。
愛
愛とは、「わたし」ではなく「わたしたち」の二人で幸せを築き上げる技術。
愛は、「わたし」からの脱却、すなわち、自立である。
愛のゴールは共同体感覚である。
したがって愛のスタートは、共同体感覚を得るための3つの態度、「他者信頼」、「他者貢献」、「自己受容」から。
すなわち、二人から始まる愛の関係は、共同体全体にまで広がることを目標とする。
共同体感覚
共同体感覚とは、幸福なる対人関係のあり方を考える、もっとも重要な指標である。
共同体感覚は、他者を仲間とみなし、そこに「自分の居場所がある」と感じられること。
共同体感覚は、対人関係のゴールでもある。つまり、愛のゴールであり、幸せのゴールである。
共同体の最小単位は「わたしとあなた」。
共同体は、家庭や学校、職場、地域社会、国家、人類などを包括した全て。
時間軸においては過去から未来までも含まれ、動植物、無生物まで、つまりは宇宙全体を含む。
アドラー心理学では、共同体感覚を得るため3つの態度、「他者信頼」、「他者貢献」、「自己受容」を推奨している。
共同体感覚のスタートは、他者の関心へ関心を寄せること。
英語名はそのまま「Social Interest」。
幸せ
全ての悩みは対人関係である。
裏を返すと、全ての幸せは対人関係にある。
幸せとは、貢献感である。
幸せとは、愛することである。
対人関係はの課題は、人生のタスクである。人生のタスクに取り組むことで共同体感覚を得られる。
つまり幸せとは、共同体感覚である。