前回まで、米田衆介著のアスペルガーの人はなぜ生きづらいのか?についてまとめてきて、 本のタイトルそのまま「アスペルガーがなぜ生きづらいのか」の原因は理解できました。
では、それをふまえて、どうやって生き抜くか?
アスペルガーをはじめハンデがある人々にとって、社会生活は本当に生きづらい地獄の日々なのです。いわゆる「勉強」は人並みにできるが、経験からの「学習」能力がないので、抜け出せないから自己卑下のスパイラルになるから。
本当に「生き抜く」感じです。サバイバル。
というわけで、その生き抜くための術を考えていこうと思います。
論理的に積み上げて考えた生きるための戦術なのですが、実践的かはまだ不明です。
これから共にブラッシュアップしていくとして、ご査収ください。
まず最初は、悩みの根源「対人関係」の生存戦略です。
戦略リスト
「ふつう」はあきらめる
社会に対して旅人や異邦人のように振舞う必要はあるでしょう。 一見それは不自由に見えます。 しかし、得体のしれない他者の心の世界に苦しんでいるアスペルガー者からしてみれば、 その方が、はるかに自由な生き方かもしれないのです。
アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか?からの引用です。
我々アスペルガーは、「ふつう」の国に滞在する、旅人なのです。地球全体が「ふつう」の国とすると、宇宙からの旅人くらいの気持ちでもいいかもしれません。 「ふつう」文化を把握できてない私たちは、インドなど色の濃い国へ行って情緒を楽しむかのごとく、一線引いて「ふつう」の人々たちとの交流を楽しみましょう。
「ふつう」の人の気持ち、「ふつう」の人はこう考える、「ふつう」の人はこうする、なんてものは知りえないのです、あきらめましょう。 「ふつう」の「自分を知ってもらう」なんてまやかしも同時に手放しましょう。
「なんとなく」は知れたりするかもしれません。大丈夫です、私たちは「ほんとうのところ」は知りえることはありません。
こうやって、無駄に高めまっくったバベルの塔状態の理想を、執着を手放すことで切り崩していくのです。
孤独を愛する
空前絶後のォォ!!!! 超絶怒涛のコミュニケーション障害!!!
孤独を愛しッ!!孤独に愛された男ォオオ!!!
空気読めない、自己中、ミス連発、すべての対人トラブルの産みの親ァ!!!
そう我こそはアァ!!!アスペ (ボンッ) ルガー!!!
イェェェエエエーーーーーイッ!!! ジャスティス!!!!!
サンシャイン池崎に扮した斎藤工のセリフのアスペルガー版です。
そんくらいのテンションで孤独を愛しましょう。
しょうがない、人とは分かり合えない宿命です。
人から避けられるのではなく、自ら孤独を選ぶのです。
孤独を愛すればそれは簡単なことになります。
「孤独」と一緒にいるのです。寂しいことはありません。
本当の共感は諦める
他の(発達障害ではない)人たちは、共感という一つの大きな魔法にかかっていて、 自分だけが魔法の影響を受けなくなる呪いをかけられているみたいです。 そのためにみんなからのけ者にされているような感じがします。 みんなは、ありもしない魔法のお城で楽しそうに暮らしているのに、 自分にはみんなが幻覚を見ていて、自分だけが正気でいるようにしか思えない。 でも、そう思うのは自分だけだとすると、論理的に考えて、私の方が狂っているはずだ ということは自覚しています。
アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか?からの引用です。
相手の気持ちはわからない。
共感は、相手の感情を自分を通して感じる、個々の境界が曖昧になるすばらしい行為です。
ふつうの人は自動的に感じているのです。アスペルガーの人にとってみたら、これはもう魔法にしか思えません。
ふつうの人の「相手の気持ちを考えて」なんて、ふつうの人はアスペの人の気持ちを全くわかってない、なんて屁理屈をいいたくなるくらい。
ではどうするか?
偽物の共感で対処するのです。
「こういう対応したときは、相手はこう感じている」といった対応付けを意識します。
あとは、ゲーム感覚で「こういう感情を求めているとして、こうする」と対処するのです。
相手がふつうの人なら、共感して当然なので勝手に共感してくれるので心配ありません。一方通行ではありますが、それでいいのです。
対人関係の訓練をする
対人関係において、
頭でわかっていても、その場ではできない
ということがほとんどです。これまでの人への対応を知識生かせずそのままリピート再生してしまいます。
孤独を愛するとしても、この社会では一人で生きていくことは不可能です。
対人場面における社会的な対応方法を、ひたすら訓練してから対人関係をこなすのです。
「あいさつの仕方」「会話のルール」「視線の合わせ方」「表情の作り方」などなど。
そういった、ふつうの人が対人関係において当たり前のように自然と身につけることを、意識的に体に覚えさせるのです。
ただ、これを一人で改善するのは非常に困難です。冒頭の「頭でわかっていてもできない問題」があるからです。SST(ソーシャルスキルトレーニング)という名前でロールプレイなどを利用したグループワークが、各地域で行われています。 こういったものを含め他者を利用する、という選択肢もあります。
話の途中で割り込まない
沈黙は金
なんていうことわざがあります。
アスペルガーにとってみたら、金はもらえなかろうが遵守すべき鉄則になります。
相手の気持ちを考えないので、自分の喋りたいこと喋りがちだからです。
特に相手の話している途中には、自分は捨てましょう。
苦手な長い話だとしても。長い話は理解できない、と開き直り、最後に「まとめるとooですか?」と返すくらいでもいいのです。しかも、ooは間違ってても構いません。
「ふつう」の人はしゃべらせてあげると、喜ぶ風習がある
みたいに、他の文化を観察するかのごとく、そんなもんなんだと割り切りましょう。 そうすれば、話している途中は黙ることができると思います。
人を疑うのを諦める
対人関係はめんどくさい!
対人関係に悩むなんてなおさら。
悩むのはなぜか?
他人が変わる、と思っているからです。
天候は変えられません、どうしようもないです。(落語「天災」より)
天候に悩んだりするでしょうか?
他者も天災のようにあるがままでいいのです。
尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力
「幸せになる勇気」より。
つまり、他者をありのままでいいと尊敬するのです。
「信頼」とは、他者を信じるにあたって、いっさいの条件をつけないこと
尊敬と信頼は、同義
再び「幸せになる勇気」より。
このように、一切の条件をつけず信じましょう。
他の人はそのままでいいんです。コントロールする必要がない。変わらない。
悩む必要はないのです。
対人関係はめんどくさい!
だから、人を疑うことを諦めましょう。
尊敬=信頼*するのみです。
まとめ
以上、対人関係の戦略でした。
「ふつう」という人と戯れられるという幻想、
他の人は変えられるという妄想を捨て、
対人スキルを利用しながら、孤高に生きていく。
ただ、それだけ。
アスペルガーたるもの、せっかく脳の作業領域が少ないんだもの、シンプルに生き抜きましょう。
次回は、生存戦略その2「行動編」をまとめてみます。

アスペルガーの人はなぜ生きづらいのか? 大人の発達障害を考える (こころライブラリー)
- 作者: 米田衆介
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/12/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 19回
- この商品を含むブログを見る

- 作者: 岸見一郎,古賀史健
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/12/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (106件) を見る

- 作者: 岸見一郎,古賀史健
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/02/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (24件) を見る